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近畿医療専門学校職員が専属トレーナーをしている、琴奨菊関が14勝1敗・幕内最高優勝 、豊ノ島関が12勝3敗・殊勲賞という成績を収めました。

2016年1月27日 | スタッフBLOG

こんにちは、近畿医療専門学校 職員

琴奨菊関・豊ノ島関の専属トレーナー文元です。

大相撲・初場所

琴奨菊関、14勝1敗,幕内最高優勝
豊ノ島関、12勝3敗、殊勲賞

言葉では言い表せない位、素晴らしい時間を過ごす事ができました。
近畿医療専門学校として両関取の専属トレーナーとなってから、約1年半。

両関取の成績が振るわなかった場所や、休場した場所もあり、トレーナーとして毎場所責任を強く感じていました。

それでも、自分達が出来る事はただ1つ、
両関取に最高の相撲を取って頂ける為の
身体と心のケアをする事でした。

そして向かえた今場所。

治療には田中先生と共に宇野先生も加わり、さらに菊関のトレーニングトレーナー、塩田さんと共に菊関の治療に関しては、毎日綿密なやり取りを交わしました。

時には意見もぶつけ合いながらも、チーム一丸となり
治療の時間もいつもよりも長く取り、細かな部分までケアを行う事ができました。
琴奨菊関は連勝のプレッシャーで疲れがあるにも関わらず、毎日自分の食事を用意して下さり、治療が終わる度に
ありがとう、明日もよろしくね。と優しく言葉をかけてくれました。

連日の活躍の裏では、満身創痍の身体の中で、どれだけ明日に疲れや痛みを取っていくかを常に考え、ケアを行いました。
そして、千秋楽を迎え、
菊関の幕内優勝という最高の結果を勝ち取りました。
菊関が優勝した瞬間は、大きな喜びと共に
様々な感情が溢れました。

国技館が揺れ、万来の拍手が起こり、全ての人々が祝福をされている様に感じました。
また、琴奨菊関の優勝はもちろんですが、
それと同時に
14日目に大きなケガをしながらも、痛みを我慢して土俵に上がり、最後まで優勝争いを演じた豊ノ島関の殊勲賞が
優勝と同じ位に本当に嬉しく感じ、
また同時に豊ノ島関側のトレーナーとしての立場としては悔しくも感じました。

初場所6日目、豊ノ島関が2敗になった時点で、ゲン直しでお風呂へ行こうと自分を誘って頂きました。
その次の日から豊ノ島関の勝ち星が続きました。
相撲に勝つ事は豊ノ島関の実力以外の何物でもないのですが、
縁起がいいからお風呂へ行こうよと、

毎日玄関先で豊ノ島関と奥様のすなさんと何気ない会話を交わし、一緒に夜中にお風呂へ向かい、サウナで身体を温め、げん担ぎで毎日同じ食事を取りました。そして深夜遅くまで豊ノ島関と明日の対戦に向けての作戦を練りました。

本当に楽しく、また特別な時間でした。
自分の存在がどんな形であっても、少しでも必要としてくれている事が、こんなにも嬉しい事なんだと、改めて強く想いました。

自分には兄がいないので、優しく接してくれる菊関や豊関と会う度に、兄の様に感じ、今場所も両関取と過ごす時間が何よりもかけがいのないものでした。
それに伴い、13日目に琴奨菊関と豊ノ島関が対戦した瞬間は、
大相撲という勝負の世界がどれだけ厳しいのかという事を、見せつけられた取組でした。
両関取の治療をしている立場として、その2人が優勝争いのど真ん中で勝負をかけた一戦を

ただ見守るしかなく
豊関が勝った瞬間、何ともいえない本当に複雑な気持ちになりました。
あの日の出来事は忘れる事が出来ません。
両関取にしか分からない絆を感じました。
また場所中は、両関取の奥様のゆみさんとすなさんに、いつも優しい言葉をかけて頂きました。

お二人共にフードマイスターの資格をとり、常に両関取を1番近くで支え続け、自分達には想像も出来ない様なプレッシャーがあるかと思います。
そんな中で常に笑顔を絶やさず、自分の様な立場の人間にまで気を遣って頂き、感謝しかありません。
場所が終わっても、ありがとうございましたと丁寧な挨拶をして頂きました。
ゆみさん、すなさん、こちらこそ本当にありがとうございました。
この初場所は、お金を出しても決して買う事の出来ない、貴重な貴重な経験をさせて頂く事が出来ました。
唯一の後悔は、千秋楽の取組時に、前日痛めた豊ノ島関の膝の痛みを取り切れなかった事です。
琴奨菊関が優勝した事は素直に本当に心から嬉しく思います。

ただ、豊ノ島関の悔しい気持ちを考えると
本当に
本当に悔やまれます。

豊ノ島関にも千秋楽まで優勝のチャンスがありました。
そのチャンスを物に出来なかったのは自分の責任です。

千秋楽で豊ノ島関が負けた瞬間、ただただ申し訳ない気持ちになり、自分の力の無さを痛感しました。
奥の花道で豊ノ島関が悔しさを隠し、琴奨菊関の優勝を祝い、出迎えた時は涙が止まりませんでした。
プロのアスリートととして、男として、心の底から尊敬します。
また豊ノ島関の同部屋で新入幕の正代関が肘を痛めた時も、自分の治療よりも正代関の治療をしてあげてくれと、後輩を気遣われました。
その結果、見事に正代関は10勝を挙げ、同部屋でお二人が三賞を受賞するという素晴らしい結果になりました。
豊ノ島関が必死の思いで勝ち取った殊勲賞のトロフィーと盾と共に一緒になれた事、
琴奨菊関が夢を実現し、幕内優勝を叶え、万歳を一緒に出来た事、

そして何よりもこの場所で琴奨菊関と豊ノ島関の間に挟まれて一緒になれた事は一生の宝物です。
自分の中では、琴奨菊関の優勝も、豊ノ島関の殊勲賞も同じ位の価値があると思っています。
このトレーナー活動では、自分の後ろに多くの仲間の存在があります。
全ての人達のおかげで今回のトレーナー活動を行う事が出来ました。
本当に幸せであり、また厳しくもあり、喜びがあり、涙があり、悔しさがあり、

相撲とは、人生そのものだと考えさせてくれました。
琴奨菊関、豊ノ島関のトレーナー活動に携われた事を、誇りに思います。
そしてまた来場所がまた始まります。

今度は自分の地元、大阪場所です。
今場所の様な、素晴らしい結果となる様に、命懸けでトレーナー活動に取り組みます。
琴奨菊関、豊ノ島関、こんな自分の治療を最後まで受けて頂き、ありがとうございました。
両関取がいつか引退を迎えるその日まで、全力でサポートしていきます。

最後に、連日励ましのお電話やメールを頂いた皆様、本当にありがとうございました。
今後とも、どうぞよろしくお願い致します。

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